作曲工房定期便 2013-04-03(水)
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>今朝の最低気温10.4度(0027:;さいたま市観測点)、雨と風。
>当地では、昨夜から春の嵐が吹き荒れています。
写真では分かりにくいのですが、かなり強い横殴りの雨が降っています。窓からカメラをサッと突き出してシャッターボタンを押したので、アングルが右下がりにティルトしてしまいました。
>13時37分 下弦。
>作曲工房一門の多くの先生方が、京都にある森田ピアノ工房の森田裕之さんと、ご子息の歩(あゆむ)さん(現在は歩さんが工房を担っています)の手によってピアノを良い状態に保っています。
>ピアノの音は、とても不思議なものです。それはプロのピアニストでも、プロの調律師でも誰もが聴こえているわけではないからです。
>ドビュッシーが生涯において自ら購入したたった1台のピアノがオリジナルのグロトリアンでした(ちなみに、森田裕之氏は、グロトリアンのアクションのウィペンをきわめて合理的と評していらっしゃいます)。
>ショパンは、オリジナルのプレイエルを愛しました。
>こういう話を聞くと、グロトリアンやプレイエルのピアノが欲しくなったりしますが、それらのピアノを買えばドビュッシーやショパンが愛した音が手に入るかというと、そうではありません。
>ブランド名だけ引き継いだピアノ工房も少なくないからです。
>また、ヤマハやカワイのピアノが決して駄目なわけでもありません。
>ピアノでもっとも大切なのはメンテナンスです。きちんとメンテナンスされいないピアノは整音作業を行うこと自体が無意味と言ってもよいでしょう。
>現在残っているオリジナルヴィンテージピアノの多くは、貴重な(ではあるものの)一種の骨董品と考えたほうがよいかも知れません。
>楽器博物館に収められたピアノも、楽器を当時のまま保存しているので、当時の音を保存しているとは限りません。100年分、きちんと経年劣化した音を鳴らします(その方針は、ひとつの見識でもあります)。
>オリジナルの音色を知らない人なら、骨董品でも所有する幸せを味わうことはできるでしょう。
>しかし、森田氏は、ピアノは100年くらいではビクともしないという強い信念のもと、限りなくオリジナルの状態を保ったまま、当時の音を再現する努力を続けておられます。
>一例を挙げると、ハンマーやシャンクは消耗品と考えられがちですが、森田工房では、ヨーロッパに残った数少ない修復工房にハンマーのフェルト巻き直しを依頼し、オリジナルパーツは可能な限り残します。
>他の部分も同様です。
>また、ヴィンテージピアノは過去に修復を受けているものがあり、その修復がオリジナルとは異なる、修復時に手に入りやすい部品によって置き換えられていたりします。
>それらは、可能な限りオリジナル部品に戻します。
>当たり前のことながら、ピアノは完全に分解されて全てのパーツが修復対象となります。もちろん、オリジナルな姿と性能であることを最優先します。
>ここまでなら、優れたピアノ技術者ならば、実行可能なことかも知れません。
>彼らが優れているのはここからです。
>ピアノの整音は包丁研ぎと似ています。素人でも包丁を研げば、よく切れるようになります。
>ところが、研ぎ名人の手による包丁を使うと、“切れる” ということに対する自分の勘違いを思い知らされます。
>よく切れるだけではなく、思い通りに切れるのです。
>森田工房のお二人による整音は、弾き手の思い通りに音色が変わります。
>逆に言うと「思い通り」な音がない人は、そのとおりの音がストレートに出てしまいます。
>「思い通りの音」を持たない人は、思い通りの音を出せないピアノを使っていることが原因かも知れません。
>ですから、森田工房を訪れた人が、そこにあるピアノを弾いたからといって、その素晴らしさに気づけるとは限りません。
>それは、バイエルやツェルニーを音楽的ではない、とか、つまらないと言い放つ人が、実はバイエルやツェルニーについて語っているのではなく、自分の演奏について語っているのと同じことだと思います。
>作曲工房で学んでくださっているピアノの先生がたのレッスン室には、そういう音色自在なピアノが待っています。
>レッスンにどれだけ大きな差が出るか、きっとお分かりいただけることと思います。
>ところで、今月11日(木)に京都の工房にお邪魔させていただく予定を立てています。
>森田工房は楽器博物館ではないので、通常は修復作業中です。
>訪問者があると仕事が中断してしまうので申し訳ないのですが、五月雨(さみだれ)式に人が訪ねるよりも一度に行くほうが良いかと思います。
>もし、訪問ご希望の方がいらっしゃればご一緒しましょう(京都駅集合で)。
>現在、私を含めて3名が参加予定です。
>いま、19世紀末と20世紀初頭の2台のオリジナル・ブリュートナー(グランド)が修復を終えて弾ける状態になっています。
>高音部に4本目のアリコート弦を持つ、独特な構造です。
>モダン・ブリュートナーはアリコート弦が他の弦と同じ平面上にありますが、ヴィンテージ・ブリュートナーはアリコート弦は専用の駒とアグラフで固定された手の込んだ作りになっています。
>2月に弾かせていただいた時には、森田ピアノの最高傑作だと感じました。それ以来、私はそのピアノに恋焦がれています。
>ご希望の方は下記メールアドレス、あるいは私のプライベートアドレスやツイッター、フェイスブックへの連絡でもかまいません。ご一報ください。
>参加費などは一切ありません。交通費はもちろん自分持ちです。
連絡先メールアドレス
tomlinあっとinfoseek.jp(“あっと” を@に変えてください)
返信がない時には、ご面倒でも下記アドレスに再度メールをお願いします。
tomlinzzzあっとgmail.com
>地震情報(日本域におけるM5.0以上、あるいは最大震度4以上の地震についてお知らせします)
三陸沖地震は、連続波形データを見ると収束しつつあるように思えます(が、油断は禁物)。宮城県 田尻観測点。クリックで拡大します。
>気象情報
>観測史上1位の値 更新状況(閲覧可能なのは今日だけです)
降水量と日最深積雪の記録が更新されています。
>今日のFM番組から
・午後2時00分 クラシックカフェ
ビゼー、チャイコフスキー、ショパン、モーツァルト、バッハ、貴志康一、ショスタコーヴィチ。
貴志康一(1909-1937)は、夭折の天才と呼ばれる作曲家、指揮者、ヴァイオリニストです。今日放送されるのは「“大管弦楽のための日本組曲” から “さくら”」です。
・午後7時30分 ベストオブクラシック・セレクション アニエス・メロンとアンサンブル・バルカローレ
アニエス・メロンは、フランスのソプラノ歌手。アンサンブル・バルカローレは、チェロ、テオルボ(リュート属の撥弦楽器)、チェンバロの3名からなるアンサンブル。
>4月3日の過去のできごと
604年 聖徳太子が「十七条の憲法」制定。
1682年 スペインの画家、バルトロメ・エステバン・ムリーリョ没。
1841年 ドイツの天文学者、ヘルマン・カール・フォーゲル誕生。天体の分光観測の先駆者。たとえば、恒星の自転速度を赤道部分両端のスペクトルを比較して、そのドップラーシフトから決定したり、分光連星を発見したりしました。恒星は非常に遠く、眼視観測では解明不可能なことが多いので、天文学者にとって分光観測は強力な武器となりました。
1868年 スウェーデンの作曲家、フランツ・アドルフ・ベルワルド没。
1889年 「ホラ・スタッカート」で知られるルーマニアのロマの作曲家、グリゴラシュ・ディニク誕生。
1895年 イタリアの作曲家、マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ誕生。近ごろ私が注目している作曲家の一人です。
1897年 ドイツの作曲家、ヨハネス・ブラームス没。
1948年 ロシア出身のピアニスト、ボリス・ベルマン誕生。プロコフィエフの全ピアノソナタ、ピアノ協奏曲の録音を発表し、2008年には「プロコフィエフのピアノソナタ」を上梓。
1950年 ドイツの作曲家、クルト・ワイル没。
1952年 小説家の中島らも誕生。
1957年 日本画家の小林古径没。
1962年 ヴァイオリニストの千住真理子誕生。
1972年 管弦楽組曲「大峡谷(グランドキャニオン)」で知られるアメリカの作曲家、ファーディ・グローフェ没。
1982年 イギリスのテノール歌手、ピーター・ピアーズ没。
2001年 静岡県中部地震発生。M5.3、最大震度5強。
2007年 2007年 - フランス国鉄のTGV POSを使用した第4402特別編成が鉄輪式の世界最速記録である574.8km/hを達成。この時の秒速は約159.7mとなり、音速の1/2に近づいた(音速を標準大気中の1225km/hとした時の約47%)。